研究室の概要

近年、医学・医療は目覚ましく進歩しています。これらの進歩は、従来では不可能であった疾病の診断や予防、治療を可能にするなど、人々に多大な利益をもたらしています。一方で、医学・医療の進歩は、新たな倫理的法的社会的課題(ELSI: Ethical, Legal and Social Issues)を生じさせています。医学の進歩との関係ではゲノム解析研究に関する問題を一つの例として示すことができます。また、医療の進歩との関係では終末期における生命維持治療の差し控え・中止に関する問題を一つの例として示すことができます。そして、公衆衛生活動との関係では新型感染症に対する予防接種の優先順位の決定に関する問題など、多くの問題をELSIの例として示すことができます。こうした中、近年、生命・医療倫理に関する研究・教育が喫緊の課題であることが、これまで以上に指摘されるようになっています。

また、上記のように、近年、医療は目覚ましく進歩しています。しかし、それらは複雑・高度化しています。このような医療環境の中、医療従事者不足など、医療の複雑・高度化以外の諸問題とも相まって、わが国の医療現場では、医療事故を防止するために、より質の高い安全管理体制を構築することが重要になっています。こうした中、安全活動や事故対応に関する研究・教育の必要性が強く指摘されるようになっています。

以上のような状況の変化は、公共政策のあり方の検討をも要請するようになっています。そこで、本研究室は、多分野の研究者や保健医療従事者、行政関係者等が共同して、生命・医療倫理や医療安全管理等に関する諸課題について検討することを目的として活動しています。また、そこで得られた総合的学際的知見を基礎に関係者に対する教育プログラムを検討し、教育講座等を通じて、それらを実践することを心がけています。

当研究室では、次のような研究に取り組んでいます。

倫理・法関係

臨床倫理

公衆衛生倫理

研究倫理

医療安全管理関係

公共政策関係